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福岡いのちの電話会報

巻頭から      過去版108号から120号


 
    NO.107
「命の雨宿り」 
  藤林 武史:福岡市子供相互センター所長
          福岡市精神保健福祉センター所長、医師
          (福岡いのちの電話評議員)

 精神科医になってもはや25年も経ってしまった。ほとんどの年数を医療機関以外の相談機関に従事するという、医師の中では珍しい経歴をたどってきた。普通の精神科医だからわかること気づくことも多くあるかもしれないが、医療機関の外にいる精神科医だからこそ気づくこともたくさんある。その中の一つを紹介したい。

 相談機関にいると、精神科医療機関を受診していないけれども自傷や自殺未遂を繰り返す人がとても多いことに気づかされる。この一群の人々は、精神科受診したとしても長く続かなかったり、投与された薬を過量服薬して救急病院にかつぎこまれたりとか、どうも精神科医療機関になじみにくいようにも思われる。児童相談所に子どもを預けている人もあり、ケースワーカーは何かと接点を持つのであるが、関係は不安定で支援は続きにくい。自傷行為や過量服薬を繰り返しながら死に至る方もある。精神科医療や公的支援が届きにくい、これら一群の人々への支援をどのようにイメージしたらいいのだろうか。

 医療以外のところで、これらの人々の何人かと付き合っていると、気がつくことがある。電話をかけてくるときはいつも不安定なので、いつもそういう状態と錯覚しがちであるが、年がら年中不安定で自傷行為を毎日毎時間しているわけではない。意外に平穏な日々もある。普通にテレビを見たり子どもと遊んだりバスに乗って買い物に出かけている。心の底には慢性的な抑うつ感や怒りの塊を抱えていたとしても、それがいつも噴出しているわけではない。時々、普通の人ではやり過ごすことができるなにげないことが、この一群の人々には耐え難く感じられてしまい、記憶と感情を大きく揺さぶり不安定の嵐をまきおこすのであろう。心の嵐をやわらげたいときに、大抵主治医には電話は通じないし、外来受診もできない。嵐をやわらげる、馴染みの方法は手首や腕を切ること、薬の大量服薬、アルコールやドラッグ、周囲の人への暴言や暴力。いつか、電話での相談が嵐をやわらげることがわかると、相談電話にかかってくるようになる。電話で相談を受ける方は、いつも同じことの繰り返しで「またか」と思ってしまうかもしれないが、この同じ繰り返しが自傷とその次に来る自殺を確かに防いでいる。夕立やスコールのような突然の嵐を日々生きている人々にとって、電話相談は側に誰かがいてくれる雨宿りのようなものであろう。いつか心の嵐が小さくなり遠くなり、穏やかな日々が来るまでの、いのちの雨宿りなのである
 
         

NO.106
「監事就任から3年を経て」
  川野 康之:川野公認会計士事務所 公認会計士
        (福岡いのちの電話監事)


いのちの電話の監事に就任させて頂き3年半が経過しました。監事の打診を頂いた時期は、監査法人を退職して、何か新しいことに関係したいと考えていましたので喜んでお引き受けした次第です。交通死亡事故は減少傾向にあるのに、自殺者数は毎日90人以上という事実、孤独感、うつ病の実情等々、現代の社会構造が要因である諸問題を目の当たりにして、胸が潰れる思いの歳月でした。このような機会を与えて頂いたことを皆様に感謝するとともに、今後も相談員の方々のために何が出来るかを模索していく所存です。

「監事は、理事の業務執行の状況及び法人の財産の状況を監査しなければならない」と定款に定められていますので、業務監査は理事会に出席すること、会計監査は事務局と連携し会計資料を確認することで実施しています。企業と公益法人の会計の決定的な違いは予算制度にあります。企業はビジネスチャンスがあれば予算に拘束されず臨機応変に投資及び撤退し、期間をかけて投資を回収し再投資を継続していきます。公益法人は予算主義であり(総会で承認された)予算に厳格に拘束され、予算を超過する支出は原則認められません。監事は、理事の業務執行は定款に準拠しているか、総会で決議された予算は、適正に執行されているかをチェックする番人です。

「もはや人生に期待すべき何ものも持たない。」これが自殺に至る人々の結論なのでしょうか。相談員の方々は、この難問に対処するため「電話」という手法を用い、「受容、共感」という姿勢で対応しておられますが、幅広い年齢層への対応等を目指して、東京、千葉、仙台、奈良に続き、福岡いのちの電話でも昨年10月から「インターネット相談」という手法をスタートさせました。「コミュニケーションが苦手な方には、電話でのリアルタイムの声のやりとりよりも、自分のペースで書けるネット相談の方が心の内面を表現しやすいのでは」と報告がある一方、タイムラグのあるメール相談で自殺をはじめ人生の危機を抱えた人の心をどう支えていくか、相談員の養成、研修、システム管理費用の問題等検討すべき事項もあります。

 不況に伴う失業者や就職難民の増加、少子化問題、経済大国2位の座も隣国に明け渡し、この度の東日本大震災及び福島第一原発事故等々、一層経済の収縮が進むことが懸念されます。寄付行為は「なによりも被災地への支援が最優先」との意見もあるかもしれません。厳しい環境ですが、スタートしたばかりのインターネット相談を充実した活動にするためにも、当会の活動の趣旨に理解を頂き、「千人会員」「賛助会員」を増やすことにより財政基盤を確立したいと考えます。


NO.105
「生きろ」という声
永守 良孝:RKB毎日放送(株)代表取締役社長
      (福岡いのちの電話後援会理事)


 以前、毎日新聞で働いていたときに、尊敬していた先輩の突然の訃報を受け取りびっくりした。その後「実は自殺だった」と聞いてさらに驚いた。「どうして」と思い「何があったのだろう」と思ったが、当時は海外勤務で結局原因はわからないままだった。
 ある日、突然、しかもまったく理由がわからないまま近しい人が消えてしまう、ということは残された人に恐らく生涯何らかの形で大きな傷を残すと思う。近しいほど「いったいどうしてだろう」と悩み、自分を責めることもあるだろう。
 しかし自死した人も自分を責め続けていた、ということを知ったのは随分後である。毎日新聞の福岡賢正記者が2000年9月から一年余にわたって連載した「隠された風景??死の現場を歩く」という記事のなかに「遺書を読む」という部分がある。(後に「南方新社」から単行本として出版)
 福岡記者はこう書いている。
 「読んでいくうちに気づいたことがある。ほとんどの遺書に、身内や関係者へのおわびと、自分を責める言葉が並んでいるのだ。(中略)『ゴメンナサイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ。父さん、母さん、ホントにごめんなさい』ひたすら謝り、自分を責め苛みながら死んだ人たち。」
いくつもの遺書に連なる謝罪や自責の言葉は読む人の胸を鋭く撃つ。残
された人にとってはいっそのこと遺書がなければ、わからないままだったら、とも思えるほどだ。
 福岡記者は膨大な取材を積み重ねて「多くの自殺者が後ろ髪を引かれ
るように、遺書の中でひたすら謝っていたのはなぜか」と問いかけ「それは自我を越えたところから発せられる『生きろ』という声が、彼らの耳にも響いていたからに違いない」と記している。
 去っていった人、残った人にそれぞれ刻まれる自責の念。どこかで自己肯定のチャンスがあれば、どこかで向き合ってくれる人がいれば・・・。記事を読んで残った思いである。
 「福岡いのちの電話」の皆さんが、電話線の先から届くかそけき声に耳を傾け、ひたすら聞き手となって、自己肯定の手がかりにでも、と取り組んでおられる努力には頭をたれるばかりである。黙って旅立っていった畏敬する先輩の面影を思いながら、そのようなことが少しでもなくなってほしい、と切望する。

NO.104
「市民の生活と健康を守る」
 江頭 啓介:福岡市医師会会長
       (福岡いのちの電話後援会理事)


 福岡市医師会は、福岡タワー、福岡市総合図書館、福岡市博物館等をはじめ報道関連各社、情報関連企業や情報技術研究開発機関、高層ビルやマンションが林立する福岡市が開発を進めたテクノポリス、早良区「シーサイドももち」地区の一画に居を構え、商業都市福岡市の開業医・勤務医約2000余名によって組織され地域医療の向上に取り組んでいる団体です。
 その源流をさかのぼれば、明治13年「福陵医会」に始まり、明治23年「玄洋医会」へとたどり着きます。その後明治40年に「福岡市医師会」として正式に発足、そして敗戦後の昭和22年11月1日には「社団法人福岡市医師会」として新生の声を上げ、以来今日に至るまでいつの時代にも常に市民の健康を守るため、地域医療の充実発展に努めて参りました。
 現在、福岡市医師会は多くの事業を展開しています。外来紹介型・開放型病院として地域の医療機関と密接な連携を図りながら、継続性のある医療提供を行っている成人病センター、自動搬送システムを始めとする最新鋭の検査機器と高い精度管理を以て、より正確な検査データの提供を行っている臨床検査センター、優れた教師陣のもとに質の高い看護教育を行い、人間の尊厳と人間愛を基本とした看護の基礎知識、技術を身につけ、地域の保健、医療、福祉に貢献できる感性豊かな人材育成を行っている看護専門学校、0歳から高齢者まで多様なニーズに対応するため、様々なサービスを提供する訪問看護ステーション・地域包括支援センター、また、行政とのタイアップによって休日夜間における福岡市の救急医療を担う急患診療センター等があります。
 その他、福岡市医師会の事業はここで紹介した他にも多くございますが、この限られた紙面でご紹介することが出来ません。福岡市医師会のホームページに医療に関する役立つ情報を公開しておりますので、是非一度ホームページ(hyperlink "http://www.city.fukuoka.med.or.jp/)にアクセスして下さい。
 近年、我が国では自殺者が増加傾向にあり、残念なことに毎年3万人以上が尊い命を自らの手で絶っております。自殺者の多くはうつ病との因果関係が指摘されており、うつ病の早期発見・早期治療は、自殺の防止に大きな役割を持っていることから、政府でもうつ病対策の推進と自殺防止対策の整備に取りかかっております。
 福岡市医師会においても、うつ病の早期予防対策として、自己チェック票及び周知用ポスターの作成や、医師のスキルアップを目的としたうつ病対応力向上研修の実施、また、労働者のメンタルヘルス電話相談を実施する等、うつ病予防対策を積極的に推進しています。これにより少しでも自殺者の減少に繋がればと願っております。
 市医師会としては、福岡いのちの電話のように崇高なボランティア精神で運営されている市民の皆様の活動に、これからも是非協力させて頂き、力を合わせて思いやりと支え合う事の出来る地域社会づくりを目指してまいります。
 最後になりますが、昨今の医療界は財政主導型で進められた医療費抑制策により閉塞感に包まれ、医療機関の廃院や医師不足など多くの問題が社会問題化し、 「医療崩壊 」が現実のものとなっております。
 このような時こそ、私共医師会は常に 「命と健康を守る 」という使命の原点に立ち地道な医療活動をもって、地域医療再生に向け努力して参りたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

NO.103
「いのちの電話に寄せて」
 松原 妙子:弁護士
       (福岡いのちの電話評議員)


1.私は、これまで、色んな困難な状況に遭ってきました。その度に何とか乗り越えてきました。
 他人から見れば、私の困難など、たいしたものではないかも知れません。でも、本人に取って見れば、困難な状況を克服出来ないのではないかと怯えたり、気持ちが萎えたりしました。
 そのような時に、「人は神様に導かれて生きている。」と信じているので、その気持ちにすがって頑張って来ました。
 なお、私は、特定の宗教を信じているのではなく、良心に恥じることをすれば、天罰が与えられると思っているだけです。

2.このような紙面で、私的なことを表すのは、ひんしゅく物だと思いますが、私は、離婚後に、司法試験を目指しました。
 今では、離婚も珍しくありませんが、当時は、離婚する人など殆どおらず、離婚すること自体が、後ろめたい気分のものでした。勉強を始めて知ったのですが、何年も合格していない人が沢山居て、それがまた私を暗澹とした気持にさせました。
 しかし、勉強をしているうちに、勉強が面白くなって来ましたし、必至で勉強し、無事合格出来ました。合格してから実感したのですが、神様は、私が困難を乗り越えられると思って、このような道を歩きなさいと導いてくれたのだと。

3.そして、現在は、依頼者に、神様は、克服出来る困難しか与えないということの他に、自分の不幸を嘆くのではなく、自分が持っている幸せを数えましょうと言っています。
 私の例でも、今、こうして弁護士が出来ているのも、若い頃に離婚したからですし、苦しい試験勉強をすることが出来た体力、気力は、ご先祖様から引き継がれて来たものですし、後になって、自分が恵まれていたのだと気が付きました。
 苦しい真っ最中には、自分の持っている幸せを忘れがちです。

4.いのちの電話に電話をされる方々は、それぞれに絶望に打ちのめされているのでしょう。
 しかし、困難は、必ず乗り越えられるものだと考えたり、自分の持っている幸せを見つめ直されたら、実際には、絶望の淵には居ないのだと思って頂けると思います。
 私達、弁護士の仕事も、カウンセラーの様な部分が多くあります。私は、依頼者が、事務所に来られた時より、帰られる時の方が元気になって頂きたいと思っています。
いのちの電話とは、深刻さは全く違い、電話を受けられる方々のご苦労は計り知れません。そのご苦労には、頭が下がります。
人と人との関係が薄れた現代では、悩みを相談する人を見つけるのも困難な人達が多くいると思います。相談者が、いのちの電話に、電話、メールをされて、少しでも希望の灯りを見つけられるようにと願っています。


お問い合わせは「福岡いのちの電話」事務局へお願いします。
電話:092-713-4343 (平日 9:00〜19:00 
土曜 9:00〜15:00)
日曜・祝日は休みです 



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